アスリートに学ぶ 3-2 [アスリートに学ぶ]
昨日一日で簡単にまとめられると思ったけど2日目突入です^^;
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ドジャースの1Aに合流すると、待っていたのは、前年に山本昌選手を指導していたドジャースの世話役・アイク生原さんでした。
この年、ドラゴンズでのプレイが絶望的になった山本昌選手は野球への情熱が冷めしまっていたそうです。それをずっと励まし続けたのがアイク生原さんでした。投手としての基礎や技術面だけでなく生活習慣まで面倒を見てくれて、アイク生原さんの伝で、当時のドジャースの大投手、フェルナンド・バレンズエラ選手と会う約束まで手配してくれたのです。
マイナーリーグに参戦することになった山本昌選手ですが、実は、ここでも思うようには投げることが出来ませんでした。
上位球団から「どんどん経験を積ませて、早くメジャーリーグに対応した選手にしてくれ」、と期待されている選手は、打たれても、打たれても先発する機会が与えられます。
ところが、ドラゴンズの選手は、ドジャースにとっては友好関係のためにやってきた「お客様」。中5日のローテーション以外に登板機会はありませんでした。
そこでアイク生原さんが、少ない登板機会で結果を残す為に
「おれの伝でバレンズエラに会うことが出来るようにする。バレンズエラの決め球のスクリューボール(左投手の投げるシンカー)を教えてもらえ。スクリューボールがあれば、お前は凄いピッチャーになれる」
と、山本昌選手を焚き付けます。
「スクリューボールはバレンズエラの切り札。そう簡単に人に教えてくれるものなのか?」と、半信半疑でバレンズエラ選手と会うことになった山本昌選手。
バレンズエラ選手も自分の決め球をライバルに教えるような事はしません。しかし当時は日本人選手がメジャーリーガーになることなんて考えられなかった時代で、しかもアイク生原さんの仲介もあって、手取り足取りの指導を受けられたのです。
ところが球は曲がらない。変化しないのです。教えてくれる事のレベルが高くて判らない。言われたとおりに投げているのに、全然曲がらない。そもそも体力も体格も違う大リーガーの肉体なら出来るのだろうが、「スクリューボールはおれには無理」と、マスターできなかったそうです。
新しい変化球の手応えもなく、山本昌選手の登板日がやってきます。
向こうの野球は、日本のように、みんなでストレッチやランニング、ノック等をする事はありません。全て自主練習で、怠けようと思えばいくらでも怠けられますし、誰にも咎められません。試合の直前までカードゲームをやっている選手や、グランドに出ても遊んでいる選手がいるような状態。
外野では「第一球のモーション、投げましたっ」なんて、仲間の三塁手の選手が練習もしないでピッチャーごっこをして遊んでいました。山本昌選手がその様子を見ていると、その選手の投げた変化球が少しだけ曲がってる。
山本選手が彼に、「その球は何?」と、聞くと、「シンカー」だと答えたそうです。
「ちょっとおれにも握り方を教えて」と3人で三角キャッチボールをする事に。すると、他の2人がやっても少ししか変化しないのに、山本昌選手が投げるとビックリするぐらい変化する! 当たり前です。投げ方が違うのです。握りは同じでも、投げ方はバレンズエラ直伝。
その日の夕方の試合で、山本昌選手が登板するときに、キャッチャーから「また打たれんなよ」と、発破をかけられ、売り言葉に買い言葉で、「おれは変化球一つおぼえたぞ」と言い返したそうです。
「何をおぼえたんだよ」
「スクリューボールだよ」
「じゃあ、サイン出すぞ」
なんて、その日、遊びで投げた球を実戦で使うことに。すると、打者をいとも簡単に打ち取れる。実戦で使えるのです。
「投げ方はバレンズエラ選手から。握り方はチームメイトから。これでものすごいスクリューボールが投げられる。」
この日からアイク生原さんとの二人三脚でスクリューボールの完成を目指して練習をし、次第に野球への情熱を取り戻します。
野球は楽しい!
スクリューボールをマスターした山本昌選手のピッチングを見た、往年の名投手サンディー・コーファックスさんに、
「彼は、あなたが4月に、サイドにするか、トラックの運転手になるべきだといった、あのときの投手ですよ」
と、アイク生原さんが言うと
「おれがそんなことを言うはずがないだろう」と惚けたそうです。
8月の上旬までに積み上げた勝ち星は13勝。ついには1Aのオールスターに出場となります。
「ドジャースが一軍で使わないなら欲しい」
とうとう、他のメジャーリーグ2球団から、「メジャーの試合に移動して投げて欲しい」、と打診され、契約交渉が始まったのです。
こりゃ驚いた!
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こんにちは♪
駆け足で失礼致します。。。
今日も良い一日でありますように!
by 瓶太郎 (2010-10-18 12:52)
こんばんは。
昔アイク生原さんの血縁の方と一緒に仕事していました。
by 夏炉冬扇 (2010-10-19 22:22)